一度は訪れたい古き良き香港のスタイルを今に伝える名店。飲茶だけでなく、夜の部もその魅力にハマります。存分に香港を堪能したければこの「蓮香楼」に是非行かれてみては♪
プサンナビからの助っ人釜山太郎(プサン・タロウ)(以下、釜太:プータ)の香港最後の日、釜太のたっての希望でお別れ「早茶」(早朝に飲茶すること)へ行くことになりました。場所は釜太の超お気に入り蓮香樓。ここ蓮香樓は1925年創業の老舗としてガイドブックなどでも紹介されています。しかし、中村はここからそう遠くないところに住んでいるので、何度も店の前を通ったことがあるにもかかわらず、どういうわけか香港に8年いて今まで一度も行ったことがなかったのです。それなのに、釜太は短い滞在中3回も行ったほどの気に入りよう。いったい何がそれほど釜太を魅了しているのかをレポートしてみようと思います。
まず入り口の看板の字が右から左なのが、昔っぽさをかもし出しています。
入ったところで、お菓子を販売していました。ガラスケースに並んでいるのは「老婆餅」という伝統的なお菓子。「老婆」というのは日本語の「ろうば」(おばあさん)ではなく、「お嫁さん」という意味で、「老婆餅」は日本でいう紅白饅頭みたいなものです。(隣でニコニコしているおっちゃんは中村の連れではありません。念のため)
 お嫁さんの絵柄がレトロさ満点。 |
 では、階段を上っていざ2階へ。 |
 上がったところにホワイトボードがあって、セレブたちのサインが。美食家チャイ・ラン氏(蔡瀾)の紹介記事も貼ってありました。 |
ローカル・ムード満点。
ワイワイ・ガヤガヤやたら活気がある店内。席は自力でゲットするのだ。誰も「こちらへどうぞ」なんて言ってくれない。タフでなければここで飲茶はできないのだ。うろうろ歩きつつもうすぐ食べ終わってお勘定しそうなところにめぼしをつけてアプローチし、前の人が立ったところにすかさず割り込んでいく。そういう厚かましさが必要。相席は当然のことながら、グループで行くとバラバラになるのも覚悟しておかなければいけない。「えー、やだー」なんていう甘えは許されないのである。
ローカル度を測るバロメーターはお茶の出され方。
ラッキーにも5人一緒に座れたナビ一行に出されたのは、ポットと湯のみセット。隣でひとり飲茶をしていたお兄さんは、お茶の葉を直接入れたフタ付き湯のみだったので、「あれって、お一人様用なんだよね。」などと、知ったかぶりしていると、釜太が、「あ、でも、この前僕ひとりで来た時もポットでした。」ん?…ってことはひとりで来てフタ付き湯飲みが出てきたら相当ローカル度が高いということになるようです。
 スタンバイしているお茶の葉を直接入れたフタ付き湯のみ |
 給湯用のやかん。 |
 やかんでお湯を補給。あちっ。こぼさないでよねー。 |
お茶が来たら、さっそく洗碗。
「こんなことしたら、お店の人に失礼じゃないかしら?」なーんて遠慮することはありません。これは習慣的なものなのです。
 あっ、香港ナビ登場回数ダントツ1位の、あのおばちゃん。(ちなみに2位のおばちゃんは、わたくし中村でしょう、多分。) |
 最初は怖かったけど、笑うと優しいおばちゃんでした。 |
 最初は怖かったけど、笑うと優しいおばちゃんでした。 |

胡麻だんご。シェアの場合はハサミで切ってもらおう。
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お馴染み、腸粉(チョンファン)やデザートの千層糕(チンチャンゴウ)など5人でたらふく食べてお会計は170ドル(約2,450円)なり。 |
基本ルール
「茗茶毎位七元」お茶はひとり7ドル。
「不設免茶」どなた様も差別なく、お茶の無料サービスはいたしません。(きっぱり)
「全日免加一」終日サービス料10%はチャージしません。(この謙遜な姿勢は好感がもてますね。)
余った点心はこの袋に入れてお持ち帰りできます。
できれば、トイレはできるだけ我慢しよう。
釜太がやおら席を立ってどこかへ行ってなかなか帰ってこない。みんなと別れるのが辛くて外で泣いてるのかと思ったら、実は最寄の公衆トイレまで走って行ってきたと言って息をはずませて戻ってきました。さーすが、このシッカリ者っ。 トイレの入り口のプレートはなかなか凝っていて好感がもてますが、でも、できることならこのドアを開けないですむようにしたいものです。なぜか女子トイレの中には洗濯機が置いてありました。
そして蓮香樓の将来は?
なにしろ、お客さんも店の人たちもかなり高齢化が進んでいる蓮香樓。早朝だったせいもあるのかもしれませんが、若い世代はほとんどみかけませんでした。ディナーも有名らしいので、そちらの方でがんばるのでしょうか。あと20年経ったらどうなってしまうんだろう。また新しいお年寄りが来始めるのか?生き残るのか、絶滅するのか。なくなって欲しくないけれど、でも、なんだかリニューアルして欲しくないような気もする複雑な心境。ともあれ、なくならないうちに行ってください。
ひとりでも、グループでも、お金のある人も、ない人も予算に合わせてそれなりに楽しめる飲茶は、やっぱりなくてはならない香港文化の一部だとあらためて確信した飲茶体験でした。そしてこの蓮香樓の魅力は、ひとりでも、朝起きたてですっぴんで髪がボサボサでも、お財布がちょっと寂しい時でも、全然気にせずに気軽に行けるラーメン屋のような気楽さじゃないかなと思いました。以上、香港から中村がお送りしました。
おまけ
幸せそうな、釜太。元気でね。