アンニョンハセヨ、プサンナビです。伝統の店・・・というと日本では街に数店あったりしますが、韓国で何十年と続く伝統の店を探すのが難しいんです。この前、オープンしたばかりなのにすでにもうなくなって・・・なんてことが日常茶飯事!そんな中、釜山に数十年、そして何代と続く有名店があります。釜山にいらした方なら、行ったことや聞いたことがある~!という方もいらっしゃるのではないでしょうか?そのお店とは、釜山を代表する郷土料理として有名な「東莱ハルメパジョン」。チジミやパジョンとして知られている料理で、家庭でも気軽に食べられている料理ですが、こちらのお店はその昔、宮廷にも献上されたと言われる、正真正銘の伝統店なんです。昔からの味を守っているお店は、釜山ではココだけ!ということで、国内外のお客さんがこぞって足を運んでいるお店でもあります。さっそくお店をご紹介しましょう。
冒頭でも紹介した通り、こちらのお店は韓国では珍しく、創業80年というお店。現在はお店を始めた代から数えて4代目に当たる金貞姫さんがお店を継ぎ、昔からの味を継承されているんです。その4代目は、東莱地区でただ一人、東莱ハルメパジョンを伝える正当な継承者としても知られ、韓国伝統文化保存会から伝統文化保存名人として任命されるほど国からも大切にされているんです。そんなプレッシャーはないのですか?とナビが伺ってみると、社長さんは優しい笑顔で、「普通の商売としてお店を守るというよりも、釜山の食文化、郷土文化の味を守っていくという気持ちでお店を続けているので、大丈夫ですよ。」と語ってくださいました。
また、お店の歴史をお店の方にうかがってみると、お店は1920年ごろ東莱市場の中で始まったと言われていて、当時、市場内で働く商人や買い物客の昼食として親しまれた料理だったんだそう。市場内で好評だったパジョンのウワサが広まり、このパジョンを食べるためにわざわざ市場まで足を運ぶ人も少なくなかったんだとか。その人気から、郷土料理の釜山代表として李氏王朝時代の宮廷に献上され、名実共に釜山の名物になっていったのがこちらのパジョンなんです。一般的に言われているパジョンとはちょっと違い、中がトロッとしているのが特徴で、パジョンの定番食材「イカ」が入っていないところも一般的なパジョンとの差異として知られています。

東莱ハルメパジョンの人気の秘密は、やはり材料。パ(ネギ)は有機農法で直接栽培しパジョンに最適なネギを作り、そのできたネギも外側は使わず、パリパリッとした新鮮な内側の芯だけを使うというこだわりようで、食べてみてもネギ独特の臭さが口の中に残らないんです。生地は普通の小麦粉ではなく、もち米の粉を使い、牛肉を煮て出したダシ汁をそれに混ぜます。パジョンの中に入る具は牛肉、カキ(冬季限定)、ホタテ、エビなど。一般的なパジョンの中に入っているイカを使わないのが特徴なんだそうです。他にも、油は済州島産の菜の花油を使ったりと、かなりの徹底ぶりが伺えましたが、それだけではないんです!東莱ハルメパジョンと一般のパジョンの違いは、鉄板で焼いているパジョンを覆うように蓋をして、パジョンを蒸すということ。お店の方のお話では、この工程が東莱ハルメパジョン独特のトロッとしたパジョンに繋がるんだそうです。上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
スポット登録日:2017-11-13
スポット更新日:2007-03-21