季節や1日の陽光によって、幻想的に変化していく石家屋の村。馬祖北竿の海岸沿いに芹壁集落はあります

お天気がいいと亀島の先の高登島も見えます
こんにちは、台北ナビです。
台北の松山空港から馬祖北竿空港までは毎日3便、南竿空港までは毎日7便。所要時間50分で毎日飛行機が飛んでいます。南竿の福澳埠頭~北竿は、船でわずか15分。北竿の地形は細長くて、小さい島なのに山は高く、馬祖最高峰の壁山(298m)は北竿に位置しています。
ビーチや離島が多いのも北竿の地理的特色で、中でも人気がある景勝地といえば芹壁村といえます。ここは山を背に海に面していて、馬祖の伝統的な集落建築が完全な形で保存されています。芹壁村の建物の建築様式は閩東建築といいますが、ここ数年は馬祖國家風景區管理處が修繕工事を補助し、特色ある民宿が増えています。
馬祖の地中海

芹壁村へ着く前の崖の上から眺めました

「芹」は芹囝、つまり福州語で稲を積み重ねたものという意味で、海面から陸地を眺めると、積み重なったような家屋が山壁にはめ込まれているように見えるので、「芹壁」と呼ばれました。家屋が山肌に貼りついたように建っている様は、九份にも似ています。
が、芹壁村は前方が碧い海。鏡のように透きとおっていたので「鏡港」と呼ばれました。また、その青さから「馬祖の地中海」という別名もあります。
石畳と石造りの村に到着

芹壁村は、清朝末期に福建の長楽鶴上からやって来た陳氏一家によって開発されました。よって村住人の苗字は、ほぼ全員陳さんです。海辺の九份のごとく、古い家は坂道に沿って並び、上へ上へ行く家は、建材は同じでも特色ある様相を呈しています。が、このような古い石造りの家を土台から造れる職人さんはもういないそうで、壊れたところは修復という形で直しています。
「芹壁」と書かれた碑から右の方の階段を上っていきました。ナビは2009年に初めて芹壁村に来たのですが、その時民宿は2,3軒。今はずいぶん増えましたね。
 掘ったスローガンも残っていますが |
 すてきな民宿が増えました |
 崩れかけの石の横に |
 やっぱり民宿 |
家屋の壁を見てみましょう。裕福な家は石の大きさが均等で、かつ配置が美しいのです。
石の組み方にも、子孫繁栄の願いがこめられています。
 こちらの石は整然としていますが |
 こちらはちょっとバラバラ |
 村には時々カエルが見られます♪ |
 きれいに修復された建物 |
 海を臨むカエルたち |

上を目指していくと
階段を上った先に「涼亭」があり、ここから海を眺められます。
芹壁村のどの場所からでも、海を見ると目に入ってくるのは、亀島です。見ての通り亀が海面にうずくまっているように見えるので、村人たちからそう呼ばれるようになった亀島は、花崗岩の岩礁です。
島の周辺の海水は海底が見えるほど透きとおってきれい~!の一言なんですが、夏は対岸(お向かいの国)からのゴミが流れ着いて、村人たちのゴミ拾いが間に合わないほどその量は増えているそうです。波打ち際を見なければ、こんなにもきれいなのに・・。

どこからでも海を見ると…亀がいます
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この路地には民宿やカフェが並んでいます |
石家屋の特色

破壊した石家屋
先ほど壁を見ましたが、他にも芹壁村の石家屋にはいろんな特徴があります。
瓦が飛ばないよう屋根の上に石が置かれていますが、これは民間では「番仔寮」(さつま芋の家)=台湾の家という意味です。が、ここ数年に修復された家の瓦はもう飛ばないように造られてあるそうで、伝統的建築の特色を強調するため、わざわざその上に石を置いてあるそうです。石も落ちないように瓦にくっつけてあるそうです。
窓枠も今はもう職人がいないことから、サッシをはめ込むところもあるそうですが、やはり昔の窓枠のほうが美しいですね。
 緑に覆われた家 |
 昔の屋根はこうです |
 今はこんなにきれい |
 確かに石、くっついています |
 昔の窓 |
 壁、スローガン、植物が味わい深いですね |
 中国語はわかる人は、スローガンに微笑み |
 店名も掘られていました |
天后宮

こちらは天后宮と鐵甲元師の廟。
天后宮とは媽祖を祀っている廟で、馬祖にはいたるところにありますね。鐵甲元師はカエル将軍とも呼ばれ、芹壁村の人たちからの信仰が篤いカエルの神様です。その昔芹壁村の人たちが海賊に悩まされていた時、高粱酒が好きなカエルの神が何人もの兵士に化け、海賊たちに島に兵士がたくさんいると勘違いさせ、この村を救ったそうです。代々この伝説が伝わり、村で何かが起こったら、必ず鐵甲元師に意見を聞くそうです。
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亀を見つめるカエル… |
 カエル故事館の横には |
 カエルの池があります |
 天后宮からの景色も圧巻 |
 カエル様 |
 池は幸福池という名が付いています |
周辺を散策してみましょう
 天后宮を降りてきました、獅子は兵士たちが塗ったものだそうです |
 起伏が激しい道 |
 壁にはスローガン |
 花崗岩を用いた石家屋が、 |
 山の斜面に沿って階段状に並んでいます。 |
 幾層にも重なり、バラバラに点在しているように見えますが、 |
 一定の秩序があります。 |
 煙突が特徴的 |
想像がふくらむ「海盗屋」

「海盗屋」は、左上方の家です
村の比較的高いところに、最も手の込んだ工法を用いた一軒の住宅がありました。
ここは対岸との抗戦期に「和平救国軍」北竿部隊の主任であった陳忠平さんが建てた「海盜屋」です。今は観光地として残されています。入口は外敵から身を守るため、崖っぷちを歩くような感じで、一人ずつしか通っていけません。中国の福州杉が柱と天井に使用されていますが、釘は一本も使っていない宮造りの用法です。芹壁村の家は頑丈な石で外側を、長持ちする杉で内側を固め、厳しい気候にさらされつつも、長年朽ちることなく生き続けています。裾広がりの形が特徴的で、強風を避けるため窓は少なく小さいです。
この一帯で一番きれいな石の組み合わせから、その裕福さがわかります。対岸や外国との貿易で儲けたそうで、別名「海盗屋」(海賊の家)と呼ばれています。海賊から身を守るためこのような家屋を建てたとは建前で、実は自らが大海賊だった?と思えるような謎が家屋のここかしこに見受けられました。
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統一性のある石の積み方です |
 このように景色はいいのですが、入口の通路は崖のよう(画像左の方) |
 かわいい |
 見事な杉です |
 補修もしています |
 天窓も小さい |
 家屋の後ろに謎が・・ |
 日本とも貿易をしていたので、「日」の字があるんだと地元の人は言ってました |
 お金や宝物を隠した金庫の様なもの、石壁の大きな穴です |
 内部は展示写真も多く、昔馬祖の女性たちは皆兵役が義務でした |
「青年民宿」

「海盗屋」から更に細い道をのぼっていくと、ここにはゲストハウスがありました!
今のところ芹壁村の宿泊地としては、一番高いところにあるので、景色は絶景!村と海が一望です。が、「青年民宿」は自分の足で上っていかなければいけません。バイクも無理ですね。そして、部屋に広い空間が欲しい人には向いていません。この景色のためなら、泊まるとこは気にしないさ、という方のみ泊まれそうです。
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荷物は足元に、ハンガーもあるので服はかけられます |
 お隣にももう一軒の民宿 |
 ここからの景色は、もう何も言うことがありません |
 お天気がいい日は絶景を眺めながら |
 ブランコや |
 椅子に座るのも快適 |
 密室ですが |
 冷房あれば快適です |
 ダブルに1人で寝るなら広いかも |
 外出時、カギは預けてくださいね、ここは坂里という部屋 |
 押し入れかと思ったら、上にもふとんが敷かれていました・・ |
 青年民宿の横は、芹壁村の山の方へ登る道もあります |
カフェにて

散策している間に、溶けてしまったマンゴースムージーです
この美しい海辺の村を多くの人に来て見てもらいたいと、「芹壁」という名でまずカフェを立ち上げた人は、民宿「芹壁村」を営んでいる陳功漢さん。最初は皆になんでこんなとこで民宿?と不思議がられたそうですが、今では陳さんに続き、美しい景色とおいしいコーヒーを看板に掲げる民宿を経営する人も増えてきました。
民宿

芹壁村には、もう何十軒も民宿があります
漁業だけで生活できなくなった村人たちは、台湾本土へ仕事を求めて離れていきました。
が、近年「芹壁村」が観光地として人気が出てきて、村人たちの中には戻ってくる人たちも増えてきました。さっき回ってきた古い建物のほとんどが、今はほとんど民宿になっていました。中へ入ると石と福州杉がうまく組み合わされています。天井は低めで、2階に上がると更に低め。屋根の合間にとられた小さな天窓などは風情があります。
特色ある民宿とこの何物にもかえがたいこの景色。是非一度は「芹壁村」に泊まってみたいものです。
 民宿ではスローガンや |
 飼い犬の家への通り穴や |
 雨水が流れ出る鯉など、昔の物はそのまま残してあります |
 どこの民宿も坂道は欠かせない |
 足腰が鍛えられます |
 こちらは昔なら珍しい3階、裕福だった証です |
 この民宿は |
 なんと、亀が目の前! |
 芹壁村25号、有名です |
 紅糟で揚げた海ウナギです |
 馬祖名物の魚麺、磯の香りがして、コシも十分、おいしいです~ |
 馬祖竹蟶、マテガイです。 |
 こちらでは佛手というのですが、岩にくっついている日本だと亀の手です、一度食べたらちょっとやみ付きになる味ですよ |
 こちらも貝も珍味でした |
 そして、魚団子スープ |
 老酒スープ!すごい、スープで酔います・・半熟卵もおいしい |
 スープの中はビーフンでした |
 紅糟チャーハンも欠かせません |