台中市政府は、観光再開発事業で、駅前エリアをもっと観光客や市民の集まる活気ある商圏にしようと整理中です。

こんにちは、台北ナビです。今回は台中の玄関口、「台中火車站(台中駅)周辺」を歩いてみました。ここ数年は、高速バスや高鐵(新幹線)の普及で、台湾従来の鉄道(台鉄)を利用して台中市へ来る人は少なくなったそうですが、近郊に住む人や鉄道旅好きには、ここが台中市の玄関口なのです。ナビが訪れたときは、半分ほどが整理中でしたが、随分すっきりとした感じの駅前エリアになっていました。
台中火車站(台中駅)からまっすぐ前の通りが「中正路」。台湾では、町の駅前、或いは一番中心になる通りが「中正路」になっています。それに平行する路が「中山路」。今回は、この中正路からスタートです。駅前は広いロータリーになっていて、歩行者、バイク、車、バスは信号が変わるたびに、大きな流れとなって移動します。警察官も交通整理に出ていて、整然とした印象でした。土日、平日の朝と夕方は、こんな感じで賑やかになるそうです。
大きな荷物を持っている人、学生、そして目を引くのが、やたらと東南アジア系の人が多いこと。それは、中正路を歩くうちに、理由がわかりました。この通りの看板には、中国語以外にも、タイ語、インドネシア語、ベトナム語、フィリピン語などの表記が目立っています。電気製品、おみやげ、テレホンカードなどを売る店が並んでいて、アジアからの出稼ぎ労働者が買物をしています。
「中正路」
 東南アジア系の労働者専用の金融業。 |
 「電子街」の小路は、中正路から民權路まで。パソコン関係の電子部品から家電まで、お店が並んでいます。 |
 |
 |
中正路にある緑川西街と緑川東街の間の交差点。 |
 |
 |
「第一廣場」、以前は台中の学生や若者でにぎわったビルも、今ではすっかり東南アジア系のお店ばかりです。 |
「印尼街(インドネシア街)」
中正路を西に進むと、緑川西街の北側に「第一廣場」があり、この建物にはベトナム料理、タイ料理フードコートが何軒もあります。かなり本場の味が期待できそうです。その先は、通称「印尼街(インドネシア街)」。10年ほど前に、台中で働くインドネシア人相手のレストラン兼雑貨屋として1軒できてから、お店がどんどん増えてきて、今では10軒ほどにもなりました。その中の1軒「雅加達小吃」に入ってみました。
 土日限定のインドネシア小吃ビュッフェコーナー。 |
 量り売りで、ナビは4種類盛って、150元でした。緑の巻いたものは、インドネシアのスィーツで、パンケーキ生地でココナッツを巻いたもの。素朴な南洋の味です。3個入りで50元。台湾ビールは3缶100元。 |
 おなじみ「ナシゴレン」 80元 |
 お店の2階はテーブル椅子があって、カラオケが歌えます。1曲10元。ナビがここで食事中、ずっとインドネシア語のカラオケ熱唱と踊りが続きました。取材じゃなかったら、ナビも参加していたかも。 |
 「阿貴AKUI」がこのインドネシア街の第1号店だそうです。台湾へお嫁に来たインドネシア人女性「「阿貴」さんが始めたお店。 |
平日は人もまばらなこの通り。土日になると、東南アジア系の人があちらこちらで食事したり、買物しています。この日は寒い日で、セーターや上着を着ている人がほとんどでしたけど、もし夏で、Tシャツに短パンだったら、きっとここが台中ではなくて、インドネシアの街角じゃないかと錯覚しそうです。
通称インドネシア街(緑川西街)の「阿貴AKUI」の店がある場所から繼光街までと、成功路と光復路で囲まれたエリアが通称「青草街」。この名称は最近市政府が観光開発の一環で名付けたらしく、台中市民に「青草街」と聞いても、知らない人がほとんど。
このエリアで、最初にお店を始めた「漢強百草店(ハンチャンバイツァオテェン)」のオーナー李漢強さんに話を聞きました。
70年前、李さんの父親が、自分で育てたハーブを駅に近いこの周辺の道端で売り始めたのが最初だそうです。次第に商売が繁盛してきたので、今の場所に店を構え、あっという間に60数年。今は2代目の李さんが烏日郷にある専用ハーブ園で様々な種類のハーブを栽培し、3代目の息子さん夫婦がここでお茶を作り、販売しているそうです。店内には、数え切れないほどの箱に様々な漢方薬が入っています。店の前で売っているのは、「青草茶」「霊芝茶」「洛神茶」「養肝茶」「冬瓜茶」ですが、体調によって、調合したスペシャルドリンクも作ってくれます。1杯30元~。二日酔いには、「養肝茶」がおすすめ。飲んだ瞬間の苦さで体がすっきりします。他のものも現代人好みで、甘さ控えめ。ひっきりなしに、お客さんがやって来て、ペットボトル詰めのものを買っていきます。
 老舗の風格ある看板 |
 2代目オーナーの陳さん。これは仙草を干したもの。これから青草茶を作り、寒天や片栗粉をいれて仙草凍を作ります。 |
 3代目 |
 作ったお茶をペットボトルに詰めています。 |
 3代目のお嫁さん |
 ペットボトル入り(1,5リットル)は100元~。お得です。 |
 生のハーブを買う人も多いそうです。どくだみ(魚腥草)もありました。 |
 次から次へとお客さんがやってきます。 |
 この通りには、昔からの雑貨屋もあって、このレトロな買物袋(中サイズ45元)を買いました。 |
「漢強百草店」
住所:台中市成功路90巷1-1号 電話:(04)2226-6621
営業時間:06:00~20:00(春節と台風のときはお休み。後は毎日営業)、同じエリアに同名の支店もあります。
「繼光街」は、鉄道の台中駅ができて以来、台中の駅前の商店街として繁栄した通りでした。北は、台中公園のそば、光復路から南は民權路まで数ブロックに渡って続きます。20年前くらいから、商店の中心が西に移動してからは、シャッターを下ろす店が増え、活気の無い場所になっていました。ここも市政府の再開発事業で、新しく整備され、取材した2009年末には、ずいぶんきれいな通りになっていました。
まず目についたお店が「潭家手工疙瘩麺」。店の前で大きなボールに入った生地から、白い塊をちぎってお湯の中にポンポンとテンポよくいれていくのが目に止まりました。小さな塊が浮き上がったらすくって器にいれていきます。オーナーの譚さんは、お父さんが中国江蘇省出身で、台南でこの「疙瘩(ゴダ)麺」を作って評判だったそうです。「ゴダ麺」とは、中国東北部の人が好んで食べる麺料理の一種で、「すいとん」みたいなものです。「疙瘩(あばた)」はでこぼこしているという意味があります。出来立ては、モチモチした歯ごたえ。野菜やお肉たっぷりの塩味スープでいただく「招牌疙瘩麺(60元)」、海鮮たっぷり「海鮮疙瘩麺(70元)」がおすすめ。
「潭家手工疙瘩麺」
住所:台中市繼光街144号 電話:(04)2223-8005
営業時間:11:00~20:00(麺が無くなったら終了)、月曜日定休

このお店の向かいには、蜜豆冰の「幸發亭」(繼光街店)があります。
コスプレ衣装のオーダーメイドのお店「巨匠飾品服飾材料行」がありました。店番の男の子に最初はぎょっとしてしまったナビ。台中でも、この手のお店が数件あるそうです。この分野はよくわからないナビですが、注文でできあがった衣装を見て、完成精度は高くないようです。でも、パーツの小物類が充実していました。その隣には、なかなか面白い手芸用品の店がありました。日本よりは安いようです。
さて、「繼光街」の中正路のところに行くと、いい匂いがしてくるではないですか。
いまや台湾全土にチェーン展開する、1973年創業の「繼光香香鶏」の総本店でした。店名からしてもしやここは?と思い店の人に尋ねたら、「ここが本店ですよ」って。いつも聞かれているらしくすぐに答えてくれました。ナビの台湾の友人達が学生のころは、ここの炸鶏(フライドチキン)を食べるのが、すごく楽しみだったとか。ナビも、時々買って食べますが、この本店のものは、やっぱり味が違う感じがします。この店の近くを通ると、いい匂いにつられて、買ってしまうんですよね。普通のものより少し割高(小パック55元)ですが、スパイシーな味と肉の柔らかさはダントツのうまさです。
「繼光香香鶏」繼光店
住所:台中市繼光街91号 電話:(04)2226-7919 営業時間:11:00~21:50
台中銘菓の「太陽餅」のお店が集中している「自由路」。以前ほどの店数はありませんが、通りを歩きながら試食をつまみ、食べ比べできるおいしい通りです。この自由路は、太陽餅の店以外にも、日本統治時代の建物が残っていて、銀行や商店として外観を保ったまま使われています。
 |
 |
これが、台中銘菓「太陽餅」です。 |
 自由路と中正路の交差点で目立つのが「九個太陽」というわりと新しいお店。 |
 このすぐ近くに、2007年、ここに移転した「魏清海太陽餅老店」。
「我こそが太陽餅の創始者(元明商店開業時の菓子職人の一人)の3代目の魏清海」のお店の公告看板に大きく「太陽只有一個(太陽はひとつだけ)」と書かれているのが面白いです。 |
 自由路の歩道には、こんなデザインのタイルがいくつか配置されています。お店の前だと店名が入っています。 |
 自由路と民權路の交差点のところにある「合作金庫」は、元は日本統治時代の台中州立図書館の建物です。 |
台中駅をスタートしてぐるりと歩くと、東南アジアからの出稼ぎ労働者、地方から遊びにやってきた人たち、昔からこのあたりに暮らす市民が違和感なくすれ違う中、ノスタルジックな風景の町並みに日本統治時代の名残りを見つけたりして、時間が少し昔に戻った気分になりました。
以上、台北ナビでした。