1年に一度の天灯(ランタン)祭り、ファンタジックな世界に、今日もこの地で20万人が酔いしれました!

こんにちは、台北ナビです。小正月には大体雨が降るという山里の平渓、今年もやはり小雨が降りました。そんなお天気の中、昨年に劣らず大盛況だった「平渓天灯(ランタン)祭り」。お昼過ぎからあちらこちらで灯りがともされ、天灯はそれぞれの願いを載せて、空へと舞い上がっていきました。
南の爆竹、北の天灯
台湾では、毎年旧暦1月15日の小正月に提灯を掲げ、湯圓(団子スープ)を食べる風習がありますが、これは元々中国大陸から来て、台湾でいろんな形に発展してきたもの。小正月に行われる行事としては、台南の塩水で催される爆竹祭りと台北県平渓の天灯が有名です。街中に火薬臭の充満する南の祭りは、毎年怪我人が出るほど激しいのに比べ、北は平和的なムードに包まれた心温まるイベントになっています。
天灯を空へ放つというのは、その昔遠くの者に自分の無事を知らせる役割を果たしていました。平渓は昔たいへん辺鄙なところで、開拓者はよく危険な目に遭ったそうです。そこで、天灯を空に飛ばすことで互いの無事を伝えあったのです。
今年は?

2011年のランタン祭りはどんなものなのでしょうか?2010年は週末ということもあって、実に台北101のカウントダウン花火と同じくらいの26万人がこの山里の小さな街「十分」を訪れました。今年は平日の木曜日、昨年より若干少ないだろうと言われたにも関わらず、初めてこの地のランタン祭りに参加したナビ。駅を降りた、いや、お昼ごろ瑞芳駅発車の平渓線に乗った途端、今晩はすごい人が押し寄せてきそうな…、そんな気配を感じ取りました。
十分の街

ナビたちは先に平渓線終点の菁桐へ遊びに行って、16時過ぎ、ランタン祭りの会場がある「十分」の駅に着きました。駅を降りたら、やっぱり…、前へスムーズに進めないほどの人の波。ナビたちは、新北市主催のランタン祭りに参加することにしていたので、17:30までに会場に到着しなければなりません。会場は十分の滝がある旅客中心近く、坂を登りきって十分國小を過ぎ、急ぎ足で20分ほど歩いたところにありました。
今年は、台北県が新北市に昇格したことを祝って、新北市29区から区ごとに違う色の天灯を上げるという企画で、十分は天灯の発祥地ということもあり、5時半から分ごとで10回に分けて、200個ずつの天灯を上げることになっていました。天灯は一個でも楽しいものですが、200個の天灯がいっせいに空高く昇っていく様子は、このイベントに参加して間近に見た者からすると、幻想的を通り越して、夢の世界に入り込んだみたいで、すごい!天灯に書いた願い事が、必ず実現する!そんな期待を思いっきり持ってしまいます!天灯さま、お願いします、ナビの願い事が叶いますように~。
 駅を降りたらこんなにたくさんの人! |
 この日だけ線路で上げても可? |
 列車も通るので、その時は?? |
 皆線路上に入り込んでいます |
 列車がきたよおお、の声に皆どよめき |
 列車の写真も一緒に撮っちゃおう |

ギリギリ、スレスレ、危ないでしょう!?
 列車が横を走っていきました |
 人・人・人 |
 流されて歩きます。 |
 お店も繁盛 |
 屋台の見せ方も大切 |
 フレッシュなさとうきびジュース! |
 天灯売りやさん |
 マイクで呼びかけます、一つ100元! |
 皆天灯にたくさん書いています |
 色とりどりのランタンがぶら下がったお店を見つけました! |
 これぞ、ランタン祭りにふさわしい屋台 |
天灯の作り方

天灯は、すでに出来上がったものを買うのが通常ですが、自分で作ることもできます!
まずは細く割った竹で輪を作り、その上に十字になるように針金を渡して、底の部分を作ります。風船の部分は、葉っぱの形をした4枚の画仙紙をつなげるだけ。火をつける部分は、15枚ほどの紙銭を灯油とサラダ油の中に約20分つけておき、それを十字になった針金の中央に取りつけます。紙と紙の間に少し隙間を作ってそこに火をつけると、天灯内の空気が熱されて、舞い上がるという仕組み、この原理は熱気球と同じなのです。
十分村の天灯の始まり

十分村の天灯の始まり「十分」駅の隣で民宿を営む胡民樹さん。平渓天灯(ランタン)祭りの発起人です。民宿内の天井には、一番最初のイベントで上げられた大きな天灯がぶら下がっています。ここはカフェレストランも兼ねているので、宿泊目的じゃなくとも、いつでも入ってちょっとコーヒーでも、と休むことができます。昔小正月の天灯作りは、一家総出の大仕事だったそうで、大人たちは早朝から、天灯に使う竹を切りに山に入り、当時は大きな紙も手に入りにくかったので、天灯の大きさは70~80センチほどしかなかったそうです。今の大きさの半分ですね。
1993年、胡さんは20数人を集めて「台北県天灯民俗文化発展協会」を設立し、小正月一斉に天灯を飛ばしました。最初は、昔ながらの天灯の習慣を、伝え残そうというのが目的だったのですが、100を超える天灯がいっせいに舞い上がるというニュースは次第に広まっていき、メディアで紹介されると一躍有名になって、多くの人が押し寄せるようになりました。今では、地元の祭りとして県を挙げての一大行事となり、元宵の夜空をかざる観光イベントとなったのです。
 会場近くでは、皆空いた場所を見つけて書きまくり、飛ばします |
 小雨がばらついています |
 ナビたちは第3番目のグループ |
 4人で1つのランタン、一挙に200個あがります |

ナビたちの前に並ぶ2番目グループの200個が飛んでいきます!!
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会場には彼(盧廣仲)が登場!! |
 メディアもたくさん |
 今日は芸能人も多く出演しています |
 そろそろ皆上げる準備に入ります |
 取材されてる人、赤筆は持参したもの |
 大きいランタンは最後に飛ばすのか? |
 皆願い事を書きまくります! |
 グループ(2時過ぎに並んで番号札をもらった人)に入れなかった人たちは、ロープの外で楽しみます |
 イケメンくんが取材されていましたので、ナビも横から失礼 |
 灯りが灯されましたよ~~~ |

飛び始めました~~~!

雨~~~も降っています!
宴のあと

ナビたちは、また「十分」駅へ戻ります
さて、天灯が飛んでいくのを見る時、この天灯はどのくらいの高さまで、どこまで飛んでいってどこに落ちるんだろう。落ちた後は、誰かが拾うのか、片づけてくれるのか、環境汚染にならないのかなど、心配性の日本人は大体そこまで考えてしまいます。
ナビが聞いたところでは、ここ平渓は盆地的な地形上、天灯は平渓以外のところまでは飛んでいかないとのこと。それでも平渓内の木や畑、川辺、線路、電線などいたる所に天灯の残骸が残ります。さらに、時々失敗していきなり空中でぼおっと燃え、落下してくる天灯もあります。そのため、天灯広場の近くに住む人は、一晩中竹竿などを片手に、途中燃えながら落ちてくる天灯を払いのけるために待機しているそうです。
 線路沿いで書いて、線路上で飛ばします |
 線路は一応入ってはいけないことにはなっています…罰金? |
 線路と道路の境がありません |
 屋台も大繁盛 |
 帰る時にはもっと人が増えていました |
 夜が更けると店にも人がいっぱい |
2月17日、数え切れないほどの天灯が、美しい平渓郷の山々を背景に舞い上がりました。いつもは静かな平渓線沿いの村が、この日だけは大変な賑わいを見せます。天灯が落ちた後の掃除は村の人たちの仕事。そういうことを考えると、ゴミは決められたところに捨てるか自分で持って帰るなど、1人1人が環境についても考えたいものです。
ナビたちは、天灯を上げた後、また「十分」の駅まで歩いて戻りました。人混みは、来たときよりすごい。これが一晩中続くそうです。でも、この感動、本当にカウントダウン花火と同じですね!このイベントがずっと続きますよう、そして、来年もぜひまた来たいと思ったナビです。