桃園の山間にある原住民部落で、大自然と原住民文化を体験してきました

こんにちは、台北ナビです。
ナビは今回、桃園県の復興郷にあるタイヤル族の部落・「
比亞外(比亜外・ビヤワイ)」を訪ねてきました。
人の手がほとんど入っておらず、豊かな自然を体感できる比亞外。比亞外への旅をレポートします。
高鐵桃園駅から車で2時間
台北駅から出発したナビ一行は、高鉄に乗ってまず高鉄「桃園」駅まで向かいます。そして駅からツアーバスに乗り換え、いざ「比亞外」へ!

桃を使ったおみやげがいろいろ
復興郷の鳥嘴山山腹にある比亞外部落。
この近くには桃の産地として有名な拉拉山があり、トイレ休憩で立ち寄った民宿でも、桃酢や桃はちみつが売られていました。
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途中で通りかかった風景 |

部落まではまだまだ!
蒋介石を記念した慈湖紀念雕塑公園や小烏來、そしてセデック・バレの撮影で使われた吊り橋「義興吊橋」などを横目に見ながら、バスはどんどん山奥に進んでいきます。
バスにゆられること約2時間。やっと比亞外部落に到着しました!
住民142人の小さな集落

教会
部落の中心地である教会のある広場にナビ達一行は降り立ち、まずは特産の枇杷茶で出迎えを受けました。
この枇杷茶は、のどにいいのだとか。香ばしく、ほんのりとした甘さでした。竹で作られたコップがなんとも風情があっていい感じです。
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枇杷茶 |

ここで、比亞外部落についてちょっとご紹介します。
比亞外部落は、原住民・タイヤル族が住む部落。
住民は15世帯、142人ほどしかおらず、人に忘れ去られたような存在の部落でした。
しかし、近年台湾観光局がまだあまり知られていない台湾の魅力を海外に伝えるために推し進めている「國際光點計畫」の地域のひとつに選ばれ、だんだんと注目が高まってきています。
 広場は海抜600メートル、一番高いところにある農園は海抜1200メートルのところにあります。 |
 ここでは飲酒喫煙は禁止となっています。 |

比亞外は、タイヤル語では「Piyawai」といいます。なぜPiyawaiという名前になったのか?これには2つの説があります。
まずひとつ目は、Piyawaiとは黃帝豆豆(ライマメ)を指し、この辺りでは昔多くの黃帝豆が採れていたからPiyawaiという名前になったのだそう。しかし、この辺りのタイヤル人はこの豆をPiyawaiとは言わないそうで、この説には疑問も残ります。
もうひとつは、Yawayという親切なおばあさんの名前から取ったという説。裏山の部落の人が塩や鉄器などを購入しに街へ行く際にこの部落を中継地として通っていたのですが、その時にYawayおばあさんは彼らにごはんを振る舞ったり休ませてあげていました。このYawayおばあさんの名前が訛ってPiyawaiになったとのこと。
今でも比亞外部落には、困っている人には物を分け与えてあげるという文化が残っているのだそうです。
 部落の至るところに置かれているラグーン(藍腹キジ)のモニュメント。この部落のマスコット的存在です。部落の入り口でも3羽の藍腹キジが旅行者を出迎えてくれます。藍腹キジは絶滅に瀕している台湾特有種ですが、ここで自然繁殖しているのが発見されました。 |
 今回ガイドをしてくれたhanaさん |

展望台
トイレの上は、なんと展望台になっています。
すべて枯れ木で作られているというから驚き。
大自然が一望できます。
ここでお茶を飲んでひと息するのも良さそうですね。
 ママの目。部落を離れて言った人々を温かく見守ります |
 鷹は力強さの象徴です |
 見晴らしは最高! |
 広場横に最近新しく建設された多目的施設。1階は多目的ホール、2階は宿泊所になっています。 |
無農薬農業を体験!

汚れてもいい靴をはいてくるのが吉
ひととおり部落に関する説明を聞いたら、次は農業体験へ。
ナビは普通のスニーカーで来てしまったので、部落の方に雨靴を貸してもらうことに。農業体験をする場合は、汚れてもいいスニーカーで来ましょう。

ナビたちを畑に案内してくれたAtayさん。
比亞外では手作業による無農薬栽培を行っています。
台湾では近年健康意識の高まりもあって、有機野菜も多く売られているのですが、ナビを畑に案内してくれたAtayさんによると、有機栽培をしている農家でも、多くは機械を使っており、機械に使われる油の影響を受けている可能性もあるのだそう。
よって、こちらでは、無農薬に加え、機械も使わず、手作業ですべてを行っています。

九層葛
畑に向かう途中に色鮮やかな木を発見!
これは、九層葛という植物。
あまりの美しさに見惚れてしまいました。
 紫色の九層葛 |
 こんな変わった形の葉の木も |

部落の人が真っ黒な実を勧めてくれました。これ、何だと思いますか?
実は、さくらんぼ。
もう少し実が大きいブラックチェリーは食べたことがありますが、こんな小さなものは初めて。ちょっと苦味が後を引く、そんな味でした。
 竹林も発見!このあたりでは竹がたくさん生えています。だから、建物にも、食器としても使われているんですね~。 |
 広場から畑までは徒歩5分か10分くらいの短い道のりなのですが、その間に本当にいろんな物を目にします。これはアリの巣。こんなアリの巣、初めて見ました! |

畑はこんな高いところにあるんです。
畑に入る前に、2人1組になり、エプロンをつけて準備します。
今回の作業は五月桃に袋をかぶせていくというもの。
ノルマは1組100個(!)。あまりの多さに驚きつつも、袋とホチキスをもらっていざ畑の中へ。
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ホッチキスと果物を包む袋をもらい、エプロンを着てから畑の中へ |

畑は傾斜地にあるので、桃の木の近くに行くのもひと苦労。
みんな助け合いながら下に降りていきます。
この畑では、五月桃の他にも、枇杷、梨、みかん、柿といった5種類の果物と、数種の野菜を栽培中。
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どんどん袋をかぶせていきます。 |
 ただかぶせるだけといっても、不要な実を選別して間引きしないといけないので、畑作業はしたことがないナビにとってはこれが意外と大変。五月桃は5月末に収穫できるようになります。 |
 ナビは作業途中に、木にぶよぶよとしたゼリーみたいなものが付いているのを発見。これは、木からでる蜜で、木が病気にかかっている証なのだとか。ここは完全無農薬なので、病気になるのもある程度仕方がないことのよう。 |

間引きした五月桃の実。そのままでも食べられるとのことでかじってみたナビ。固いっ!熟していない梅のような味でした。
結局ナビたちは、ノルマの半分も達成できませんでしたが、100個すべて終わったペアもいました。恐るべし!
みんなの力を合わせて多くの五月桃に袋をかぶせることが出来ました。この作業をひとりで行うと半日はかかるそうなので、部落のAtayさんは、ナビ一行にとても感謝してくれました。観光者も農業を体験できつつ、部落の人のお手伝いにもなって、一挙両得!?
袋かぶせの後は、枇杷の収穫。採れたての枇杷をいただいちゃいました。
 この小さいシワシワの枇杷。何も知らないと捨ててしまいそうですが…。ストーップ!!実はこのシワシワの枇杷がいちばん熟れていて甘くておいしいのです! |
 採れたての枇杷はみずみずしくて本当においしい!みなさん夢中で枇杷を口に運んでいました。 |
働いた後は、タイヤル族のごはんをいただきます


畑で働いてお腹ペコペコ~と思いながら戻ってくると、ランチが用意されていました。
この日出されたのは、原住民料理のビュッフェ。
肉あり、魚あり、野菜ありでどれもおいしそう!
部落のおばあちゃんによる食前のお祈りを聞いてから、早速いただきま~す!
 竹をお皿として利用。 |
 このお皿は熱湯消毒されていて、エコかつ清潔なのです |
 鹹豬肉。塩ともち米で2週間漬けたイノシシの肉を天ぷらのように揚げてあります。日本だとこういう肉料理はないので珍しいですよね。塩気がくせになります。 |
 馬告風味の蒸鶏。原住民料理によく使われる香辛料・馬告が乗っており、レモングラスのようなさっぱりとした風味。ナビ好みの味付けで、たくさん食べちゃいました。周りの実は、間引きされた五月桃です。すっぱくて梅のよう。 |
 ナビ編集長お気に入りのキャベツ包み。この中にも馬告が入っており、さっぱりとして美味でした~。食材はどれもこの近くで採れたものを使っているそうですよ。 |
 その他にもお野菜を使った料理がいろいろ |

ほとんどあっさりとした味付けで、油っこくなく、どの料理もかなりレベルが高かったです。
みなさんも料理の味を絶賛していました。
日本人も好きな味付けだと思いますよ~。
ナビはあの蒸鶏がまた食べたい!(笑)

比亞外付近の案内模型
ナビ達が食事を取ったのは多目的ホールの中。
ここには、比亞外一帯を紹介するミニチュアも置かれています。
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藍腹キジに番号が振られており、模型の手前に説明が書かれています。地名は原住民の言語でも。 |

こちらで採れた枇杷を使ったびわジャム
おみやげも販売中。
 ポストカード |
 藍腹キジをあしらったTシャツ |
 比亞外の住民による曲が納められたCDも |
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多目的ホール |
タイヤル族のおやつを作ろう!

続いては、タイヤル族のおやつ作りを体験します。
今回作ったのは、糯米香蕉糕(もち米バナナケーキ)。
レッツトライ!
よく熟れたバナナともち米、砂糖をよーく混ぜあわせます。量が多いので5人かかり!
使うのはこの4つ。バナナの葉はあらかじめ茹でてあります。ひもは月桃葉を利用。

こんな感じでよく混ざり合ったらOK!

部落のおばちゃんに教えてもらいます。
それを、そこをひもでしばったバナナの葉の中に入れていきます。
最後に上をひもでしばって完成!
このひもでしばる作業が、途中で紐が切れてしまったり、バナナの皮が裂けてしまったりして、意外にも難しいのです。
 筒状になった葉の中にもち米を入れていきます |
 みなさん苦戦中 |

完成!こんなにたくさんできました。
あとは、40分蒸したら完成です。
出来上がりが待ち遠しい!!
タイヤル族の歌と踊りを鑑賞
おやつが蒸し上がるのを待つ間に、比亞外の女性達による歌と踊りを鑑賞。と、その前に、タイヤル語による自己紹介レッスンがスタート。

タイヤル族の自己紹介は歌に乗せて行われます。
「イマラルス(あなたの名前はなんですか?)」「ラウムガ◯◯(私の名前は◯◯です)」と答えます。
ひととおり教わると、みんなも実際にやってみよう!ということになり、突然ナビも指名されてしまいました。
少し恥ずかしながらも、でも原住民文化により親しめて楽しかったです。
この歌のほとんどが、比亞外にある教会の牧師さんによって作曲されました。美しいメロディーと歌声に心が洗われるようです。
 小さい女の子のソロパートも。恥ずかしがりながらも堂々と歌っていましたよ。 |
 小さい子から60代のおばあちゃんまで幅広い年代の女性が参加しています |
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タイヤル族の織布を使った踊り。タイヤル族の女性にとって、自分で布を織れるようになることが一人前の証。布を織れてはじめて嫁入りできるようになります。 |

最後には、ナビ達観客も一緒にタイヤル族の踊りを体験しました。
運動音痴のナビにとってはけっこう難しかったですが、みんなでひとつになって踊れて、より深く原住民文化に近づけた気がしました。

そして、最後にお待ちかねのおやつタイム!
バナナの香りが豊かで、甘さ控えめの素朴なお味でした。
これで全行程が終了、再びバスに揺られて、帰宅の途についたナビ一行でありました。
手付かずの自然と文化が今でもそのまま残る比亞外。原住民文化を体験できるところは他にもありますが、ここではまだ開発されていない、ありのままの原住民文化を感じることができます。普段都会で生活しているナビにとって、人の手があまり入っていない感じはとても新鮮でした。
今回の旅は日帰りで十分には比亞外の自然を味わうことができなかったので、時間がある時にまたゆっくりと来てみたい。そう思ったナビなのでありました。
以上、台北ナビでした。