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料理研究家小河知惠子(オガワチエコ)・おうちで本格台湾料理『第十九回目・三杯雞(三杯鶏)』

暑い夏にピッタリなビールと合う居酒屋の人気メニューです

こんにちは。台北ナビで「おうちで簡単本格台湾料理」を連載している台湾料理研究家の小河知惠子(オガワチエコ)です。

日本では沖縄や九州南部で梅雨明けの便りが届き、東京もそろそろ梅雨が明ける頃ですね。これから気温がぐっと上がり、ビールの美味しい季節に突入します。花火や野球を見ながら自宅で飲むのもいいですが、ビアガーデンなどで風を感じながら飲むのもまた最高のシチュエーションですよね。

日本にビアガーデンやビアホールが登場したのは今から100年以上前ですが、台湾では30年〜40年くらい前にこういった類のお店が多く出来始めたのだそう。そこでよく出されていたメニューが今回ご紹介する三杯雞(サンベイジー)です。

骨つきの鶏肉を、醤油1カップ(一杯)、砂糖1カップ(一杯)、酒1カップ(一杯)、合わせて三杯の調味料で味付けしたお料理で、当時はお酒に合うようにだいぶ濃い味に作られていたようです。しかし今は健康志向も高まり、分量はかなり変わってきています。

では早速今回の台湾料理、「三杯雞」のレシピをご紹介しましょう。

まずは材料 2〜3人分

鶏の手羽先、手羽元 合わせて600g
生姜 40g
ニンニク 3片
ゴマ油 大さじ2
バジル 20g
鷹の爪 2本
米焼酎 大さじ3
醤油 大さじ1と小さじ2
砂糖 大さじ1弱

作り方

① 生姜は皮付きのまま、薄切りにし、さらに縦に短冊切りにします。ニンニクは皮をむいておきます。

② バジルは茎から葉をちぎっておきます。

③ 鶏の鳥羽先と手羽元は骨に沿って1箇所切り込みを入れます。

こうすることで、骨から旨味が出やすくなり、お肉も骨から外れやすくなります。

④ ゴマ油で生姜を炒めます。

乾いてくるまでじっくりと炒めてください。そうでないと生姜の辛さが前面に出てしまいます。

⑤ ニンニクを入れて炒めます

⑥ ③の鶏肉を入れて色が変わるまで炒めます。

⑦ 米焼酎と醤油を入れます。

日本酒よりも米焼酎を使う方が台湾料理らしくなります。

⑧ 絡ませながらさらに炒めます。

⑨ 水(分量外)を材料半分くらいまで入れます。

⑩ 砂糖を入れて強火で沸騰させます。

⑪ そのまま煮込んで、煮汁が少なくなってきたらバジルと鷹の爪を入れます。

バジルは黒くなりやすいので、後半このタイミングで入れましょう。

⑫ 少し煮汁を残すくらいまで煮詰めて出来上がり。

生のバジルや素揚げしたバジルを添えると綺麗です。

三杯雞の完成!

鶏のコラーゲンと調味料がお肉に絡んでツヤツヤの仕上がり。バジルの緑と唐辛子の赤も鮮やかで食欲が刺激されます。

手が汚れること覚悟で豪快に頬張ってみると、ジューシーな鶏肉は醤油と砂糖ベースの馴染み深い味わい。後から追いかけてくるバジルの香りとほのかな苦味が、まさにビールにぴったりです。

ですがこれ、実は台湾では冬向きの料理でもあります。身体を温める生姜やゴマ油が使われているので熱がこもりやすいとの事ですが、日本で食べる分には、私はそれほど気にしません。なので、どの季節もこのスタンダードなレシピで作りますが、気になる方は白ゴマ油を使ったり、生姜を少なめにしたりすると、夏は良いですよ。
個人的には熱くなった体をビールで冷やす、というのもまた一興だと思っています。

日本で本場の三杯雞を再現するために

今回は鶏の手羽先と手羽元を使って三杯鶏を作りましたが、現地では骨つき鶏もも肉のぶつ切りを使います。

しかし日本のスーパーではほとんど入手できないので、同じく骨がついている手羽先と手羽元で代用しました。これらのお肉でも、骨からしっかり旨味が出るので、本場と遜色のない味わいになります。

色々な三杯

ちなみに台湾には、鶏の他にも豆腐を使った三杯豆腐やイカを使った三杯中巻など、様々な三杯があります。変わったところでは三杯ピータンなども見かけたことがあります。お気に入りの食材でオリジナルな三杯○○を作るのも楽しそうですね。

台湾の少し高級なお店に行くと、三杯雞は熱々の土鍋に入った状態で登場します。そしてそのふちに紹興酒をかけるんですね。すると、ジュッという音とともになんとも言えない夢のような香りが広がります。私はその瞬間が大好きです。

次回も、食べるだけでうっとりするような魅力的な台湾料理レシピをご紹介します。お楽しみに!

料理と文章:小河知惠子(オガワチエコ)

料理研究家・台湾料理研究家。

雑誌やテレビ、書籍などのレシピ作りや料理コラム等で活躍中。著書に「純愛ごはん」(セブン&アイ出版)、「おにぎらずの本」(泰文堂)、「スティックオープンサンドの本」(講談社)など。 初めての台湾旅行で、食材の豊かさと豪快な調理に魅せられる。 以来、何度も台湾に足を運び、2017年、現地の料理学校で台湾料理を習得。 2歳男児の母。

小河知惠子(オガワチエコ)
https://twitter.com/ogawachieco

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2019-07-23