紅もち米の里でアミ族の料理&文化を体験しよう!

Ngaahyho(ンガ アイホ)!台北ナビです。
冒頭のNgaahyhoとは原住民・アミ族の言葉で「你好(こんにちは)」を意味します。本日はそんなアミ語が学べたり、現地の人と触れ合えたり……ほかでは体験できないアミ族の伝統料理クッキング&文化体験ができるツアーに参加してきました。とりわけ、台湾リピーターや台湾在住者におすすめですよ。
それでは、普段なかなか触れることのできない原住民文化の旅へLets go!
旅の舞台はアミ族最大の太巴塱集落

台湾原住民族の中でも最大数を誇るアミ族。その多くが台湾東部・花蓮県に暮らしています。中でもアミ族最大かつ最古の集落の1つと言われているのが「太巴塱集落(Tafalong)」です。近くを流れる渓流に多くのカニが生息していたことから、古くはアミ語で「白いカニ」を意味する阿巴塱(Afalong)と呼ばれていたそう。集落を歩いてみると、カニをモチーフにした壁画などを見ることができますよ。
本日はそんなアミ族の里、太巴塱集落へ。
まずは集落最寄りの台鉄光復駅からほど近い「光復第一市場」へ向かいましょう。
10:30⇒光復市場ツアーで地元民と交流@光復第一市場
集落の人々の胃袋を支えているのが、「光復第一市場」です。一見、どこにでもある普通の伝統市場のようですが、足を踏み入れ、よ~く観察してみると、台北では滅多にお目にかかれない珍食材が!見たこともない野菜類もたくさん並んでいます。
 ゲロゲロゲロ~鳴き声こそしませんがフレッシュなカエルさん。オバチャンたちが昨晩採取したばかりだとか。まだ動いてマス…… |
 貝?タニシ?いえいえカタツムリ(恐らく養殖)!コリコリして意外とイケるんですよ。アミ語では「ヅムリー」と言うとか。あれ、日本語みたい!? |
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トゲトゲした野菜は木虌果とか木鳖果と言うみたい。葉っぱも食べられます。熟すと黄色くなって見ためはフルーツみたい~! |
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プチトマトのような見ため+ナスのような食感の車輪茄はと~っても苦いっ。炒め物やスープにどうぞ。火を入れると苦さ倍増!! |
 小っちゃなナス?紫色の枝豆?みたいなお豆さん |
 雨天時に生殖する野生のキノコ雨來菇は海藻のような食感。「情人的眼淚(恋人の涙)」という別名もありますよ~ |
 なじみあるオクラもビッグサイズでびっくり! |
アミ族の人たちは肉よりも野菜を好んで食べるんだとか |

アミ語はなんとなく日本語に発音が似ていて中国語よりカンタン!?
いろいろ見て回った後は、グループに分かれて気になる食材を買い求めましょう。買い物の前には市場ショッピングで役立つアミ語のレッスンも忘れずに!アミ語を操って地元の人とコミュニケーションを取れば、より楽しくお買い物ができますよ!
Ngaahyho(ンガ アイホ)=こんにちは
Ina(イナー)=オバチャン
Mama(マーマ)=オジチャン
Pianen(ピナーン)=いくら?
Aray(アライ)=ありがとう
 どれにしようかな? |
 Ina(オバチャン)たちは商売っ気ゼロ?まったりし過ぎです(笑) |
 地元の人も物色中 |

「Ina, Pianen?(オバチャンいくら)」返ってきた答えは中国語で「50元だよ」
 アミ族伝統の保存食、醃肉は豚肉の塩漬け。ひと月ほどかけてじっくりと漬け込み、熟成 |
 醃肉を販売していた日本語名キヨコさん。日本語がお上手でコミュニケーションもばっちり。最後に記念写真をパチリ |
11:30⇒アミ族クッキングに挑戦@太巴塱紅糯米生活館

竹造りで風通しのよい太巴塱紅糯米生活館
食材を購入したら、いよいよ太巴塱集落へ向かいます。集落内にある「
太巴塱紅糯米生活館 」は、彼らの暮らしや文化、風習などに触れることのできる場所。アミ族伝統の食事を堪能したり、DIY教室に参加したり、特産品を買い求めたり、気軽にアミ族の文化を体験することができます。
本日はここで集落の特産品である紅もち米を使ったスパイス作りとランチ作りを体験します!
 テーブルにセッティングされたエプロン&ウェルカムおにぎり! |
 栄養価が高い紅もち米は、その色から米のルビーとも呼ばれるとか。集落自慢の味 |
 地元で栽培されている4種のもち米。とってもカラフル! |

紅もち米のスパイス。アミ族の衣装にもよく使われているボンボンを飾りに付けたら完成!かわゆし♪
【紅もち米のスパイスDIY】まずは、地元産の紅糯米(紅もち米)を発酵させた酒釀(天然甘味料の一種。甘酒みたいなもの)を使用したスパイスソース、紅糯米酒釀辣椒を作りましょう。
作り方はいたって簡単!酒釀と青トウガラシを交互に重ねて層を作ったら、小米酒(粟酒)を加えて作業は終了です。1週間ほど漬け置いたら食べ頃で、混ぜ合わせてサラダのディップにしたり、お肉につけたり……甘酸っぱさの中にパンチの効いた辛味が楽しめます。作ったスパイスはお土産として持ち帰ることができるので、家庭でアミ族伝統の味を再現できちゃいます♪
【手巻き紅もち米】
続いて作るのは紅糯米手捲です。「手巻き寿司のようなもの??」と作業を進めます。こちらも難しいことはひとつもありません!野菜を茹でて生地を焼いたら、お好みでソースと野菜を巻き巻きするだけなんです。
 過貓と呼ばれる山菜 |
 さっき市場で見た苦~い車輪茄 |
 オクラと紫インゲン |
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日本はもとより台北でもあまり見かけない葉もの野菜 |
 カットして……と思ったら、長いままの方がきれいに巻けるとか!先生の話はよく聞きましょう←ナビのこと |
 熱湯で茹でます!火鍋みたい!? |
 野菜ごとに取り分けて粗熱を取り除き……つまみ食い(味見)もお忘れなく。大自然の旨味いっぱい! |
 いよいよ焼きに。片手でフライパンを持ち、一気に生地を流し入れ |
 フライパンをぐるりと回して広げます。薄焼き卵を作る要領でまんべんなく! |
 両面を焼いたら皮のできあがり!イエーイ!! |
 お好みでソースと野菜を入れて巻いたらOK!手巻き寿司というよりアミ風の潤餅(台湾風春巻き)だなー。皮もちもち~♪ |
 葉っぱで包んで野花を飾ればアミ風弁当のできあがり♪きゃーっ!かわいい、かわいい♡SNSにアップしよっ♪ |

わーい、お弁当持ってお出かけだー!
14:00⇒歴史&文化を知る集落ガイドツアー@Kakita'an祖先の家

迎えてくれたKakita'an家 59代目のTipus Saumah(中国語名:何玉蘭)さん。門前にお酒を撒き、先祖に入園することを報告
お腹を満たして向かった先は、アミ族のルーツに出合えるKakitaan先祖の家です。名前に反して新しく見えるここは、かつて台湾原住民の住居を研究していたという日本人建築家・千々岩助太郎氏のスケッチを元に近年、復元されたものだと言います。
アミ族発祥の地とされる太巴塱集落、その礎となったのがKakitaan家です。彼らの始まりを語る伝説が残されていました。
『南方からやってきた天神だというKakitaan一家。4代目となる夫婦には4男2女が授かりました。末の娘はとても愛らしく育ち、海神さえも求婚するほど。しかし海神の手に渡ることを恐れた父母は娘を隠します。けれども5日後、海神は嵐を巻き起こし娘をさらっていきました。母は海鳥となり、父は海辺の大木となり海に連れていかれた娘を見守ります。長男は北へ逃げタイヤル族の、次男は西へ逃げ西部の原住民族の、3男は南へ逃げブヌン族の先祖となりましたが、4男と長女は海に飲み込まれて漂流し、太巴塱に流れ着きました。やがて2人は夫婦となってこの地に根ざしたのです』

Kakita'an先祖の家
そうして時を重ね、平和に暮らしていたKakitaanの一族ですが、日本統治時代になると、彼らの文化・風習であった首狩りの儀式が一方的に禁止されてしまいます。また、Kakitaan家は住まいを追い出され、そこは史跡として保存されることになりました。1935年のことでした。
1958年には巨大な台風がこの地を襲います。Kakitaanの家も吹き飛ばされてしまいました。家を支えていた9本の柱のうち、残されたのは7本。しかし再建するための費用もなく、道端に野ざらしにされていた柱は、政府の中央研究院民族所(以下、中研院)に持ち去られてしまったのです。
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千々岩氏の1940年当時の太巴塱考察記録より |
2003年になると、集落の小学校教師Fudayは中研院にメールを送ります。Kakitaanの柱を自分たちの元に返して欲しい、と。柱には先に紹介した伝説が彫刻として刻まれていて、彼らにとって文化の象徴であり、ルーツであり、先祖の魂が宿っているとても大切なものだったのです。

わら葺屋根は数年ごとに張り替えられるとか
あまりにも長すぎた年月ゆえ、新たな文化や宗教も取り入れるようになった集落。彼らの中でも意見の相違があり、中研院との交渉も容易ではありませんでした。が、最終的に集落のシャーマンの「我々が欲しいのは柱ではない、柱に宿る先祖なのだ」という言葉をきっかけに話し合いは進展、翌2004年、先祖の魂は柱から米酒の瓶へと移され、50年近い時を経てようやく故郷へ戻ってきたのです。
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再現された家の内部。囲炉裏の上部で魚や肉をいぶし、食材を保存 |

代々の相続人の名が記され、祀られている。アミ族は女系なのだとか
現在、Kakitaanの家の中にある柱はレプリカで、オリジナルの柱は引き続き中研院に保存されています。しかし先祖の魂は太巴塱へと帰ってきました。そしてKakitaanの家では彼らの重要な伝統儀式が執り行われています。先祖の魂を帰郷させた様子は、ドキュメンタリー映画「讓靈魂回家 Returnning Souls」の中に詳しく描かれているそうです。興味がある方はチェックしてみてくださいね。
※下記はフィルムの一部となります(中国語)
 首狩りを禁じられた後、地中に埋葬。その一部は現在納骨堂に |
 敷地のすぐ脇で草を食むヤギの姿も |
 市場で見かけた野菜や果物もたわわに実っていました |
15:00⇒アミ族ショータイム@太巴塱紅糯米生活館

再び「太巴塱紅糯米生活館 」へ戻り、楽しい宴の時と参りましょう!ずらりと並んだアミ族伝統料理の数々は、素材の旨味を活かした大自然の味わいが楽しめるものばかり。自然の滋味を噛みしめつつ、伝統衣装に身を包んだInaたちのダンスを観賞しましょう。
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宴の準備はバッチリ! |

ごちそうがい~っぱいっ♪
 ビュッフェ形式、セルフでどうぞ。ナビ、ごちそうを前に欲張っちゃった! |
 集落特製アワのお酒、小米酒をソーダで割ってレモンを加えたもの。美味過ぎる~♡ |
続いて、ナビたちも宴の輪に加わり、Toron(またはTuron)と呼ばれるアミ族伝統の餅を作り。これは重要なお祝いの時に食べられる特別なごちそうなのだとか。日本の餅つきとは違い、杵を持った2人が歌に合わせて交互につきます。原料となるのはもちろん、自慢の紅もち米です。
 臼が動かないように足で固定して |
 2人の息を合わせて、一二、一二 |
杵が重くて息が上がる~!つけばつくほど粘り気が出て、さらに重たい(涙)ごちそうを食べるのも大変なのです…… |
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臼の周りでは踊りの輪が。フォークダンス風の簡単な振りだから見よう見まねで踊ってみよう。楽しい~♪ |
 できたぞー!! |
 もちもち~♡ピーナッツ粉やゴマ粉をつけていただきまーす |
 ビフォー |
 アフター |
みんなで力を合わせておいしいToronに仕上がりました! |
17:00⇒楽しい思い出を胸に台北へ
最後に集落のみんなとツアー参加者全員で輪になって別れのダンス。大いに食べて大いに笑った楽しい旅もおしまいです。後ろ髪をひかれながら集落を後に台北へ。またいつか戻ってくるよ~!
 Aray(ありがとう)! |
 記念撮影をパチリ |
写真提供:Ting |
紅もち米と地元野菜の宴に行こう!
アミ族の料理を体験してみたくなったアナタ、彼らと共に宴で盛り上がりたくなったアナタ、太巴塱集落を訪れてみませんか?下記日程で特別ツアーが開催されます。お申し込み、詳細はウェブサイトでご確認ください。
■食卓で集落旅行:太巴塱集落~紅糯米と地元野菜の食卓 1Dayツアー(7時間):2020年11月8日or 9日
<スケジュール>
10:00 台鉄光復駅集合
10:30 光復市場でショッピング
11:30 アミ族クッキング教室
14:00 太巴塱集落を散策
15:00 紅もち米&地元野菜の食卓
17:00 台鉄光復駅解散
また、上記日程以外にも「
太巴塱紅糯米生活館 」では、さまざまな文化体験コースも用意しています。フェイスブックからご確認ください。
原住民集落に行ってみたかったけど、なんとな~く敷居が高く感じていたナビですが、本日ツアーに参加して、気軽に原住民文化に触れることができました。アナタも紅もち米実るアミ族の里、太巴塱集落でたくさんの思い出と笑顔を手に入れませんか?
以上、台北ナビでした。