地方創生のシンボル・池上の子どもたちがサプライズで登場!池上スピリッツを振りまきました
こんにちは、台北ナビです。
秋の風物詩ともなっている「池上秋收稻穗藝術節」は、田んぼの中に数日間だけ作られる舞台の上で、歌やダンスなどのショーを行うイベントです。
毎年台北ナビは取材に訪れているのですが、2023年もすごかった!というわけで、少し遅くなってしまいましたが、レポートをしたいと思います。
何がすごいかって、このイベントは民間がやっているということ。そのため池上の人々のボランティア精神をダイレクトに感じられます。

みんな素朴で笑顔が素敵♡
このイベントをきっかけに学生たちが自信を持っていきいき過ごしているのですが、その姿がぐっと心にくるのです。
毎年取材をさせてもらっているのですが、アーティストのパフォーマンスはもちろん楽しみにしていますが、実はこの池上の子供たちの笑顔に会いたくてきていると言っても過言ではありません。
コロナ禍の葛藤を表現したダンスでコロナストレスが吹き飛んだ!

池上で開催された記者会見にはこのイベントに尽力された方々が大集合!
今年のショーは台湾が誇る世界的なコンテンポラリー・ダンス・カンパニー「雲門舞集(クラウドゲート)」。台北ナビでも幾度となくご紹介しているので、もうご存じですよね。
1973年に林懐民氏によって創設され、世界各地でパフォーマンスを行い、ダンスを通じて台湾の文化や歴史を伝える活動をしてきました。今回の演目『天光・霞』は「池上秋收稻穗藝術節」でしか見られない特別なものです。というのもコロナ禍で作られた『霞(SEND IN A CLOUD)』を特別バージョンにアレンジしたからなんです。

アートディレクターの鄭宗龍氏
では『霞』とは一体どういうものなのでしょう。それは、コロナ禍の隔離でダンサーたちと一緒に練習できなかった際、ビデオ会議でダンサーたちが即興で踊ったダンスを元に作られた演目。コロナ禍での孤独・怒り・無力・喜びなどの心境を体の動きで表現し、楽しいダンスへ昇華させています。
アートディレクターの鄭宗龍氏は言います。「コロナ禍の画面越しのやり取りは冷たかったので、コロナが明けて、池上の舞台で両手を大きく広げて、天地と一緒になれることがとても嬉しいんです」と。今回のために、ダンサーたちのお気に入り部分をつなぎ合わせて調整したそうです。
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自然の中だからこそのパフォーマンス |
さらにいつもなら劇場の映像や照明デザインが固定されていますが、池上の舞台では、すべては天のお心次第。光の差し込む様子、風の吹き方、突然の雨……。どれもこれも天のみぞ知る!
ダンサーは天に身をゆだね、純粋なダンスの動きで様々な意味を持つ雲と霞を表現しています。

池上の美しさと雲門舞集の魅力が詰まった舞台
日本人の音楽の力も借りています
『霞』は、日本のサクソフォン奏者「清水靖晃」氏が演奏したバッハの『無伴奏チェロ組曲』が使用されています。
音程の異なる4本のサクソフォンを使用し、教会や炭鉱の採掘場、巨大な廃工場などに移して録音することで、残響感を演出し、録音室で録音しているのとは異なる空間感が表現されているのですが、これが『霞』で表現したい「個人は小さいけれど孤独は大きい」というものをよく表されているように感じるのだそう。
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日本人サクソフォン奏者が演奏しているというのがなんだか嬉しいな♡ |
山の峰や稲の波を貫く音楽、空を飛びまわるように舞うダンサー、時折揺らぐ陽光……それらが合わさり、池上の美しさを表現できると鄭宗龍氏は語ります。
『天光・霞』の意味

コロナって本当に罪深い。でも『天光・霞』を見て、ナビの心に心が差し込んだ気がします!
正直芸術レベルが低いナビには難解でしたが、前半の怒りや孤独が後半になるとそれらが放たれていく。コロナ禍で何度も感じていた、霞がかったもやもやした思いに光が差し込んできたかのような温かい気持ちになりました。
ひとりひとり感じ方は様々です。何が正解で何が間違いというものはありません。このダンスを通して、自分の心と対峙するのが大切だとナビは思うのです。
なんと池上の学生たちによるサプライズもありました!
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池上の学生たちが一生懸命踊ります! |
『天光・霞』の終了後、池上國中(池上中学校)、福原國小(福原小学校)、萬安國小(万安小学校)の学生16名による『薪傳』の一節『耕種與豐收』が披露されました。
『薪傳』は雲門舞集創設者の「林懷民」氏が1978年に作り上げた名作です。その中でも農民たちが苦労して田んぼを耕す様子を描いたパートである『耕種與豐收』のダンスはとりわけ難しいそう。林懷民氏と雲門のダンサーが自らお手本となり、10数回の練習を経て舞台に立ちました。
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子供たちと雲門舞集のダンサーたち。子供たちのやり遂げたという表情から達成感を感じます |
もちろんプロのような完成度はありませんが、農業に携わる大人の仕事ぷりを日頃見ているからでしょうか、ダンスが素人とは思えぬほどのダンスを披露してくれ、ナビは心が打たれました。
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選び抜かれた有名人だけが立てる舞台に立って踊るという貴重な体験が子供たちの将来につながるはず! |
今年も田んぼの中のステージを作り、アートを楽しめた「池上秋收稻穗藝術節」。ここに来ると心が洗われるんですよね。来年も是非参加したいと思います!
以上、台北ナビがお届けしました。

雲門基金會提供 攝影李佳曄
10月21日(土)、10月22日(日)に台東池上郷で「2023池上秋收稻穗藝術節『天光・霞』」が開催されます!
「池上秋收稻穗藝術節」は毎年10月の終わり頃に台湾の米どころ池上の田んぼの中に作られた舞台で開催されるアートフェスティバルです。

國家兩廳院提供 攝影劉振祥
今回のアーティストは台湾が世界に誇るコンテンポラリダンス集団「雲門舞集(クラウド・ゲート)」です。
雲門舞集藝術總監(アートディレクター)の鄭宗龍氏がコロナ禍でダンサーとリモート会議をしていた際、ダンサーに即興で身体の動きで今の心境を表現してみて!と伝えました。その際ダンサーが孤独、怒り、孤立無援、喜びなどの動きを送ってきた動きから、喜びと感動を感じるダンスに昇華したのが『霞』です。
いつもは劇場で映像とライティングで表現している『霞』を、何が起こるかわからない大自然のなかで披露するのが、池上秋収だけの『天光・霞』なんです。
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記者会見で挨拶をする鄭宗龍氏 |
鄭氏は「池上の神様はいつも雲門に素晴らしい舞台を用意してくれます」と語ります。劇場では感じられない自然と融合したパフォーマンスは必見です。

「2023池上秋收稻穗藝術節『天光・霞』」を支える皆さま!
台東、特に池上を愛する人々が協賛し、開催される「2023池上秋收稻穗藝術節『天光・霞』」。
チケットはほぼ完売状態ですが、若干残っているようです。興味のある方は是非会場へ足をお運びください。
2023年池上秋收稻穗藝術節詳細

雲門基金會提供 攝影李佳曄
 台灣好基金會「柯文昌」董事長 |
 臺東縣池上鄉文化藝術協會「梁正賢」理事長 |
 和碩聯合科技「童子賢」董事長 |
 台東縣政府「王志輝」副縣長 |
 池上鄉公所「林建宏」鄉長 |